macotoのブログ日記

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help リーダーに追加 RSS 精神科病棟

<<   作成日時 : 2008/03/01 12:01   >>

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精神科病棟をみせていただきました。

 古い、昭和30年代に建築された病棟が、使われなくなってそのままあるというので、中を見せていただきたいとお願いしてみました。

 3年前に患者さん達は新しく、綺麗で広い病棟に移ったのですが、古い病棟はそのまま残してありました。
 晴れた日でしたが暗い病棟、狭い廊下、畳の部屋の病室、家庭風呂としても狭いくらいの80人分の風呂、ドアはわたしは頭がつかえる高さ(175センチ)。使える空間としては、自分のベットや畳のスペースと、10畳くらいのデイルームくらいです。
 窓は開いても、太い枠で区切られた景色しか見ることはできません。窓のすぐ外には、デパートがあり人が大勢歩いているのに、全く交流が出来ない、特殊な空間がそこにありました。

 ここに入院して、1週間、1ヶ月、半年、1年  そんなに長くいたらどうなってしまうのか。自分の布団とデイルームを往復し、出された食事もベットで食べる生活。外と交流のない毎日が、ただ過ぎていく。その積み重ねで1年、2年、3年・・・・
 症状はやわらいだとしても、人として生きていく力が奪われてしまうのではないだろうか。楽しみといえば、夜9時までのテレビ。9時からが面白いのに。
 朝6時に起きて、検温して、小さい横長の窓から出される食事を一列に並んで受け取りベットに持ち帰って食べる。食べ終わったらその小さな窓に返しに行く。薬を飲んだらやることはない。昼ご飯も同じように並んで貰って食べ、薬を飲む。午後は日によっては散歩に出してもらえる人もいる。夕食は5時、並んで食べて薬を飲む。7時になったら就前薬をやはり並んで名前を呼ばれたら薬を貰って飲む。9時になったら消灯。風呂は週に3回、小さい家庭風呂に順番に入る。
 この生活が1年、2年、3年 ・・・・・と続く。
 この古い病棟の写真を何枚も撮った。

 衝撃だったのは、わたしが知っている人が未だ入院していたこと。
27年前、わたしはこの病棟で当直のアルバイトをしていた。その時に入院していた人が「未だ」入院していた。
 27年間。 この間にわたしは、大学を出て、就職し、大学院に行き、結婚し、転職を3回し、子どももいる。子どもの入園式、入学式、運動会、卒業式など行事だけでもたくさんあった。 旅行もたくさんした。全国いろいろなところに行き、いろいろな景色を観て、たくさんの人に会ってきた。

 同じ27年間を、この人は、ベットとデイルームの往復、廊下を何度も往復する毎日で過ごしてきた。人生のもっとも変化に富んだ、充実した生活を送ることができる年月を、この狭い空間だけで過ごしてきた。毎日三回並んで食事を受け取り、毎日四回並んで薬を受け取り、27年が過ぎた。
 27年前と同じようにその人はベットに横になっていた。全く同じ姿だった。髪を7:3におでこに撫でつけ、身動きせずに上を向いていた。声を掛けても返事は返ってこない。それも27年前と全く同じ。わたしが自分の名前を告げ、27年前のエピソードを話したとき、目がキョロキョロと動いた。覚えていてくれたらしい。普段は目も動かさず、反応がないのが普通だから。こんなに反応してくれたことがうれしかった。手を握って「会えて良かった。」と言った。
 あの古い病棟に25年近く入院し、新しい病棟に移ったのだろう。この人の人生を思うとき、この病気の哀しさが感じられる。
 この人にとって、広い廊下、明るい病棟、広い食堂、ゆったりした病室、ガラス張りの広い看護室、きれいな風呂、どれをとっても驚きだったろう。25年間に身体に染みついた古い病棟での生活が一変したのだから。
 新しい綺麗な病棟に寝ている姿に「哀しさ」を感じつつも「良かった」とも思う不思議な感情だった。


注) 精神障害の人が全員「声を掛けても返事もしない」「身動きせず寝たまま」ではありません。通常は、投薬により症状は改善し、働くことも出来ますし、結婚している人も大勢います。この人の病状は特殊な症状で、そのため長期間退院することが出来なかったのだろうと思われます。誤解の無いようにして下さい。
 
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